高齢者の検査値判定

日本人間ドック学会では、人間ドックによる健康診断において、実施が必ず必要である基本検査項目というものを設定しています。基本検査項目の大半ではAからDの判定区分を設定しています。なお,基準範囲に年齢差があることが明らかであっても現時点では特定健康診査の判定値や関連学会から提唱しているものを優先してA判定の区分に採用しています。①AST:高齢者になって軽く上昇してしまう理由は明らかになっていませんが、ASTは心臓、肝臓、骨格筋などのたくさんの臓器に含まれており、年を取ることによりこれらの臓器の機能が低下し、ASTが血中に流れ出てくるものだと推測されています。②ALP:女性では閉経前後でかなり上昇する傾向があるようです。その増加の大部分というものは骨型ALPの増加に起因して、総ALP活性に比べて、骨型ALP`の変化のほうが大きいです。③HnA1c:女性では年を取ることによる筋肉量の低下、体脂肪、内臓脂肪の増加が男性に比べて大きいため、インスリン抵抗性が発生しやすく、その結果GbA1cが年を取ることによって上昇してしまう原因なのではないかと考えられています。④eGFR:日本腎臓学会で専門医に紹介しなければならないレベルというのは40歳未満ではeGFR(mL/分/l.73m2)が60未満,40歳以上70歳未満は50未満,70歳以上は40未満としています。しかし、日本人間ドック学会の判定区分では一律に50未満としています。それはなぜかというと、聴力検査など加齢による変化が明らかに存在するほかの検査も年齢別の判定区分を設定していないことが理由です。

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